制御工学を初めて学ぶ人がまず読むべき参考書~ベスト5~

制御工学

みなさん,こんにちは.
おかしょです.

先日,研究室に配属されたばかりの後輩に制御工学の参考書でおすすめはあるか聞かれました.
なので,この記事では私が読んできた参考書の中でおすすめのものを紹介したいと思います.

この記事を読むと以下のようなことがわかる・できるようになります.

  • 参考書の選び方
  • おすすめの参考書

 

参考書を選ぶ際のポイント

これから参考書をいくつか紹介するのですが,その前に私が参考書を選ぶ際に注意しているポイントを説明します.
みなさんが参考書を選ぶときにもこの点に注意して選んでみてください.

 

古典制御に触れているか

制御工学は古典制御と現代制御に分けることができます.名前にあるように古典制御の方が古くからある考え方です.
参考書の中には古典制御には触れずに,現代制御から解説を始めるものがあります.

現代制御から学習を始めても理解はできるのですが,制御工学の基礎は身に尽きません

制御工学においても最も重要なのはシステムを安定に目的の状態へと遷移できるかです.
この安定性については古典制御の基礎を学んでいないと,完全な理解にはたどり着けません.

また,古典制御は周波数領域で制御器の設計を行います.
周波数領域でシステムの安定性を保障するのは非常に重要です.システムによっては外乱の影響で大きく姿勢を乱されてしまうもの,もしくは全く乱されないものがあります.
この違いを理解するには,周波数領域でのシステムの解析ができなければなりません.

参考書でこのことに触れているか確認するには,索引で「周波数○○」のようなキーワードがあるか確認してください.このキーワードが複数あれば,入門用の参考書として良いと思います.

 

PID制御を扱っているか

PID制御というのは古典制御理論で,現代制御理論にも応用されている制御器です.
現在,実際の現場で最も利用されているのはこのPID制御だと言われています.

PID制御は入門者が最初に学ぶべき制御器だと思います.

PID制御は理論が非常に単純で理解しやすいです.それでいて,応用もできる万能な制御器だと言えます.

理論は単純ですが,奥が非常に深く,現在でもPID制御の研究をしている研究者がたくさんいます.

この制御器を扱っていない参考書は,入門者が学ぶべきことを飛ばしているので入門者はそのような参考書は避けるべきでしょう.

 

様々な制御器を広く取り扱っているか

制御工学の入門者の方は制御器にどのようなものがあるのかを知らないと思います.

たくさんの制御器がありますが,それぞれメリット・デメリットがあります.それらの違いを理解するには,一つの制御器を学んだだけではダメです.たくさんの制御器に触れて,それぞれの比較を行う必要があります.
いろいろな制御器が解説されている参考書は少ないですが,たくさんの制御器に触れることで入門者を一気に抜け出すことができます.

これについては,参考書の目次で複数の制御器を扱っているのかを確認して下さい.

 

たくさんの参考書を読む

これは参考書を選ぶポイントとは少し違うのですが,制御工学のいろいろな参考書に触れてください.

制御工学を研究している人は世界中にたくさんいます.それぞれの人が同じ考えを持っているわけがありません.
例えば,同じPID制御の考え方でも人によってとらえ方が違います.なので,参考書に書かれている内容も著者が違えば,書き方が違ってきます.

このように,同じ制御工学の入門書でも著者が違えば考え方が違ってくるので,一つの参考書にとらわれずに複数の参考書を読んで自分一人の考えを身につけなければなりません.

よく研究室でも考え方の違いで議論になるのですが,参考書の考え方にとらわれすぎて他の人の考えを受け付けない人がいます.そのような人はほぼ間違いなく,研究でも結果が出ていないような人たちです.
みなさんはそのような研究者にはならないために,いろいろな参考書に触れるようにしてください.
なかには,良書とは言われないような参考書にも触れてみてください.何か考え方が変わるかもしれません.

 

参考書のおすすめ5選

ここからは私が実際に使っていた,現在も使っている参考書をご紹介します.amazonで購入できるリンクも張っておきますので,購入しようと思ったらそちらのリンクから購入してください.

上からおすすめ順に紹介していきます.

 

「わかる制御工学入門―電気・機械・航空宇宙システムを学ぶために」

こちらの参考書は参考書というよりも教科書のようなものなのですが,これ一冊で古典制御の基礎を学ぶことができます

この本は古典制御のことしか書かれておらず,現代制御のことはほとんど書かれていませんが262ページもあり,解説はこれ以上ないほど丁寧に書かれています.
各章ごとに演習問題がついていて巻末の回答解説で確認もできます.

ボード線図や根軌跡,ナイキスト線図などの書き方が知りたい方はこの本を選べば間違いないでしょう.
大学院の入試で制御工学がある方にもおすすめです.

ただ,制御器についてはあまりとりあつかわれていないので,制御器について知りたい方はこの本を選ぶべきではないかもしれません.
ただ,制御器の性能の評価などにボード線図などを用いるので,この本を持っていて損はないでしょう.教科書のように本棚に入れておくと,何度も見返せていいと思います.

 

「MATLABによる制御理論の基礎」

この本も先程の参考書と同様で古典制御のことが詳しく書かれています.現代制御のこともかかれているので,古典制御から現代制御へのつながりも学習することができます.

「MATLABによる…」という参考書はたくさんあり,どれも非常に質の高い参考書となっています.
MATLABというのは数値シミュレーションなどを行うことができる計算ソフトのことで,世界中の研究者も利用しているソフトになります.このシリーズの参考書ではMATLABのサンプルプログラムも載っているので,本に書かれたことだけでなく数値シミュレーションからも理解を深めることができます.

この「制御理論の基礎」でもMATLABのサンプルプログラムがのっていて,簡単に数値シミュレーションを行うことができます.

先程の「わかる制御工学入門」よりは説明が丁寧ではありませんが,古典制御の切り口が異なるので先程の参考書を読んだ後にこちらの参考書を利用するとより勉強になります.

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「わかりやすい現代制御理論」

私が一番最初に読んだ参考書がこの「わかりやすい現代制御理論」です.

タイトルにあるように現代制御理論のことが入門者が読みやすいように書かれています.
古典制御については書かれていないので,これ一冊では制御工学の基礎を学ぶことはできないのですが,入門者でも読みやすく書かれているので,三日坊主にならずに読み切ることができます.

参考書を買っても,途中でわからなくなって投げ出してしまうよな方は最初に紹介した2冊よりもこちらの方が良いかもしれません.ただ,これだけでは制御工学の基礎としては不十分なので,他の参考書も読む必要があります.

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「倒立振子で学ぶ制御工学」

最近私が見つけた中で間違いなく一番の良書です.

この本は古典制御から現代制御だけでなく,実機に適用するときのことも解説があります.
ほとんどの入門書は実際のロボットに制御器を適用するときのことは解説していません.おそらく,制御工学の基礎としては適していないからだと思います.

しかし,制御器を設計したら実際のロボットに適用しなければ意味がないので,そのときに注意するべきことを知っておかなければなりません.なぜかはわかりませんが,研究室の教授はそのことを知っていて当たり前だと考えています.
私からすれば,そんなこと知っているわけがないと思っています.

この本では,その教授が知っていて当たり目だと思っていることが詳しく解説されています.なので,入門者は必ずこの本は読んでおかなければなりません.

ただ,この本は制御工学の基礎中の基礎については解説がありません.なので,制御工学の入門者向けではないのかもしれません.超初心者の方は最初に紹介した「わかる制御工学入門」をまず読んでから,この本に進むと良いと思います.

この本の良いところは,各章ごとに著者が違うことです.各章ごとに著者が違うので,様々な考え方に触れることができます.いろいろな著者が書いているとまとまりが取れなくなってしまうように思いますが,この本は各章ごとにつながりがあって,非常にまとまりのとれた一冊となっています.
MATLABのサンプルプログラムも公開されていて数値シミュレーションの解説が詳しくされているので,自分で数値シミュレーションを組むこともできます.

これ以上の一冊はないと思います.

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「MATLABによる制御系設計」

先程の「MATLABによる制御理論の基礎」と同じシリーズになるこの本は入門者を突破したい方向けの本になります.

この本の一番の特徴は,いろいろな制御器がこの本一冊にまとまっていることです.
私はこれまでに,これほど多くの制御器を一冊にまとめた本は見たことがありません.しかも,それぞれの制御器のサンプルプログラムも載っているので,実際に数値シミュレーションをすぐに行うことができます.

ただ,この本では理論的に入門者には難しい制御器も解説されているので,一番最初に読むにはハードルが高すぎます.入門書をいくつか読んで,入門者を脱却したい方は読んでみると良いと思います.

もう一つこの本にはデメリットがありまして,非常にたくさんの制御器の解説がのっているのですが,ページ数が300ページほどしかありません.それぞれの制御器に対する解説の量が非常に少ないです.なので,この本では理解した気にはなれますが,本質を理解するのは難しいと思っていてください.

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まとめ

この記事では制御工学の入門書を5冊ご紹介しました.
もしこの記事を読んでもどの参考書にしようか迷っている場合は,「わかる制御工学入門」を選んでおけば問題ないと思います.

 

続けて読む

以下の記事では「わかる制御工学入門」を勧める理由をさらに詳しく説明しています.

「わかる制御工学入門」を買おうか迷っている方は読んでみてください.

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それでは最後まで読んでいただきありがとうございました.

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