みなさん,こんにちは
おかしょです.
システムの安定性は極の位置によって決まります.
古典制御工学では伝達関数から特性方程式を用いて極の位置を求めることができます.
しかし,現代制御工学では伝達関数ではなく状態方程式でシステムを表現します.
そのため,極の位置を状態方程式から求めることができません.
それでは,現代制御工学ではシステムの安定性はどのように表すのでしょうか.
答えは固有値です.
この記事では固有値と極の関係を解説します.
この記事を読むと以下のようなことがわかる・できるようになります.
- 極の求め方
- 固有値の求め方
- 極と固有値の関係
この記事を読む前に
この記事では伝達関数と状態方程式を使用して解説します.
これら二つのことについてよく理解していない方は,この記事の内容を理解するのは難しいと思います.
これら二つのことを以下の記事では解説しているので,先に読んでおくことをおすすめします.
極の求め方
まずは極の求め方を確認します.
極は伝達関数の分母多項式=0とした特性方程式の解のことを言います.
例えば,以下のような2次遅れ系の伝達関数があったとします.
$$ G(s) = \frac{\omega^2}{s^2 +2\zeta \omega s+ \omega^2} $$
この伝達関数の極を求めると
\begin{eqnarray}
s^2 +2\zeta \omega s+ \omega^2 &=& 0\\
s&=& -\zeta \omega \pm \omega \sqrt{\zeta^2-1}
\end{eqnarray}
このように極を求めることができます.
固有値の求め方
先程の2次遅れ系の伝達関数を状態方程式に変換すると以下のようになります.(変換のやり方はこちらを参照してください.)
\begin{eqnarray}
\frac{d}{dt}
\begin{bmatrix}
\dot{y} \\
y
\end{bmatrix}
=
\begin{bmatrix}
-2\zeta \omega & -\omega^2 \\
1 & 0
\end{bmatrix}
\begin{bmatrix}
\dot{y} \\
y
\end{bmatrix}
+
\begin{bmatrix}
\omega^2 \\
0
\end{bmatrix}
r
\end{eqnarray}
これの固有値を求めます.
固有値\(\lambda\)はシステム行列\(A\)を用いて以下のようにして求めることができます.
\begin{eqnarray}
|\lambda I-A| &=& 0\\
\begin{vmatrix}
\begin{bmatrix}
\lambda & 0 \\
0 & \lambda
\end{bmatrix}
–
\begin{bmatrix}
-2\zeta \omega & -\omega^2 \\
1 & 0
\end{bmatrix}
\end{vmatrix}
&=& 0\\
\begin{vmatrix}
\lambda +2\zeta \omega & \omega^2 \\
-1 & \lambda
\end{vmatrix}
&=& 0\\
(\lambda +2\zeta \omega)\lambda-(-1)\omega^2 &=& 0\\
\lambda^2+2\zeta \omega \lambda+\omega^2 &=& 0\\
\lambda &=&-\zeta \omega \pm \omega \sqrt{\zeta^2-1}
\end{eqnarray}
極と固有値の関係
先程求めた極と固有値を比較します.
どちらも同じ値であることがわかります.
つまり,同じシステムであれば伝達関数から極を求めても,状態方程式から固有値を求めても同じ値となります.
このことから,状態方程式の固有値は極と同じ役割を果たすと言えます.
現代制御工学においては固有値を求めれば安定性の解析ができるということがわかりました.
古典制御工学で極を用いたシステムの解析は現代制御工学の固有値と入れ替えることで同様に解析ができます.
まとめ
この記事では極と固有値の関係について解説しました.
極と固有値を求めて,極と固有値が同じ役割を持つことがわかりました.
続けて読む
この記事で現代制御工学では固有値を求めることで古典制御工学と同じようにシステムの安定解析ができることがわかりました.
以下の記事では古典制御の安定解析のやり方を解説しています.
現代制御の安定解析をしたい方は,以下の記事の極を固有値に置き換えて参考にしてください.
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それでは最後まで読んでいただきありがとうございました.
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