みなさん,こんにちは
おかしょです
制御工学を学習していると,「極」という単語をよく目にします.
この記事では,極ってそもそも何なのかを説明します.
この記事を読むと以下のようなことがわかる・できるようになります.
- 極とは
- 極の求め方
- 極の位置と安定性の関係
この記事を読む前に
この記事では伝達関数を使用して極の求め方などを解説します.
伝達関数とは何か知らない方・わからない方は以下の記事を先に読んでおくことをおすすめします.
「極」とは
極というのは,伝達関数の「分母多項式=0」を解いた結果のことを言います.
極は制御工学の中でも古典制御を勉強しているとよく出てきます.
現代制御を勉強していても,極という単語は出てきますが,古典制御ほど深くは取り扱はない印象です.
極を求めることによって,そのシステムの安定性を解析することができます.
制御工学においてシステムの安定性というのは非常に重要です.
そもそも,制御の目的はシステムを目標の状態に安定させることです.
そのため,制御目標を達成できるかを評価することのできる「極」は制御工学を学ぶうえで非常に重要な役割を果たします.
それでは極とシステムの安定性にはどのような関係があるのでしょうか.
極と安定性の関係
極は以下のような複素平面内で表されます.
図の中の”Re(s)”は極の実部,”Im(s)”は極の虚数部を表しています.
この図の中で,極の位置を×で表します.
極とは違うもので「零点」というのもあるのですが,それは〇で表します.
極が\(-1\)と\(-3\)であった場合はこのように複素平面上で表されます.
極が\(-1\pm 3j\)だった場合はこのようになります.(虚数を\(j\)で表しています)
このように極の位置は複素平面上で表され,この極の位置が複素平面上の左半平面内にあればシステムは安定だということができます.
つまり,極の実部が負であればシステムは安定です.
極の求め方
次に,極の求め方について解説します.
例えば,以下のような伝達関数で表されるシステムがあったとします.
$$ G(s) = \frac{K}{Ts+1} $$
この伝達関数は一次遅れ系と呼ばれるのですが,このシステムが安定なのかを極の位置から調べてみましょう.
先程も述べましたが,「極」というのは伝達関数の「分母多項式=0」を解いた結果のことを言います.
従って,この伝達関数の極は以下のようにして求めることができます.
$$ Ts+1 = 0 $$
これをsについて解くと
$$ s = -\frac{1}{T} $$
となります.この結果から,\(T\)が正の値であれば\(s\)は負の値となります.
つまり,極は複素平面上で左半平面に位置することになるので,このシステムは安定であるということができます.
もう一つ,例を出してみましょう.
以下のような2次遅れ系のシステムの極を求めます.
$$ G(s) = \frac{\omega^2}{s^2+2\zeta \omega s+\omega^2} $$
この極を求めると以下のようになります.
\begin{eqnarray}
s^2+2\zeta \omega s+\omega^2 &=& 0\\
s &=& -\zeta \omega \pm \omega \sqrt{\zeta^2 -1}
\end{eqnarray}
このようにして求められた\(s\)に\(\zeta\)や\(\omega\)などの値を代入し,実部が負であればそのシステムは安定と言えます.
また,虚部が存在する場合はシステムの応答は振動的になります.
まとめ
この記事では制御工学における「極」の意味と求め方について解説してきました.
まとめると,極というのはシステムの安定性や応答をある程度把握することのできるもので,「伝達関数の分母多項式=0」を解いた結果のことを言います.
極を求めるには,方程式を解くことができればいいので簡単に求めることができます.
続けて読む
今回解説した極と同じように伝達関数から求めることができる零点というものがあります.
零点も制御工学において重要なものです.
以下の記事では極と零点の関係について解説しています.
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それでは最後まで読んでいただきありがとうございました.
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